2014年末、神奈川某所で
フユシャク観察会を敢行。
個人的には2014年のフィールド納めとなった。
参加者は、プロ写真家の
森上さんと
尾園さん、そして、
そよ風ふくさん、
川北さん、
蛾LOVEさんと、贅沢な面々。
プロの撮影術を目の当りにでき、非常に有意義な時間を過ごせた。
◆チャバネフユエダシャク♀(12月 神奈川)
北海道から九州に普通。寒いエリアから順に11~1月。広食性。
鳥糞擬態の白黒模様から、ホルスタインと渾名される(笑)
◆チャバネフユエダシャク♂(12月 神奈川)
斑紋は個体差あり、
オオチャバネフユエダシャク似の個体もいる。
この夜はよい天気の割に蛾影は薄めだったが、チャバネフユエダシャクなど、フユシャクは8種確認できた。
・チャバネフユエダシャク♂複数・♀1(上の記事)
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クロスジフユエダシャク♀産卵1(下の記事)
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クロオビフユナミシャク♂複数
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イチモジフユナミシャク♂1(下の記事)
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ナミスジフユナミシャク♂多数・♀複数・交尾1
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ウスバフユシャク♂多数・交尾複数
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ウスモンフユシャク♂1
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クロバネフユシャク♂複数
↑イチモジフユナミシャク♂
北海道から九州に分布する広食性の普通種。
現地で定点観察している方の情報では、本種はなぜか現地では確認されていない種だったと聞いている。
私も同地では、3年前に初めて1♂を確認し、以降毎年1♂を確認しているが、まだ同地では♀は確認していない。
他のポイントでも、それまで確認できなかった種が、ある年から連続して確認されるケースを何例か聞いている。
これは定点観察情報あっての賜物であり、ある種が「いる」という情報と同様に「いない」という情報も重要と思う。
フユシャクはミノガ同様に♀は飛べない為、離れた新天地への拡散は、成虫時代は不可能に近い。
若い幼虫時代に、クモの様にバルーニング(糸を凧の様に使い、風に乗って移動する)していると考えられる。
バルーニングで風に飛ばされた先は海の可能性もあり、陸に降りられても生息できる環境とは限らない。
文字通り行き先を「風に任せて」、犠牲を覚悟で多数の若い幼虫が空に飛んでいく。
考えてみれば壮絶な生き方だが、上手く気流に乗った個体は、島嶼や他の大陸にも進出し得る。
↑クロスジフユエダシャク♀産卵
昼にも飛ぶクロスジフユエダシャク♂は12月半ばで見かけなくなったが、生き残った♀が産卵していた。
「この辺で過去に何度かクロスジ♀を見たことがあります」と言った矢先にこの個体がいたので驚いた(笑)
加工された木材なのだが、何か誘因する要素があるのだろうか。
フユシャク以外にも色々と出会えた。
↑ヤマノモンキリガ
成虫越冬する越冬キリガ。
サザンカに吸蜜に来ていた。
↑ナワキリガ
成虫越冬する越冬キリガ。
ギフチョウを発見した名和氏の名を冠したキリガ。
西日本種だったが、温暖化の為か関東南部でも普通になってきた。
↑クロモンホソコヤガ
幅10mm程度の小さな蛾。夏もいるはずだが、フユシャクを探している為か冬ばかり見かける。
↑ゴマフリドクガ幼虫
幼虫越冬する。
↑ミノガsp.幼虫
クロツヤミノガ辺りだろうか。
↑シャクガsp.幼虫
エダシャク亜科辺りの若い幼虫の様だ。
フユシャクではないが、冬に活動しているシャクガの幼虫は時々見かける。
↑アカハバビロオオキノコムシ
最近は蛾屋というより鞘翅屋になってきた蛾LOVEさんが発見。
↑キイロテントウ
成虫越冬。樹皮の凹みで時々見かける。
↑ナミテントウ
成虫越冬。昼間に日光浴していた。
本種は斑紋パターンが多様だが、南方ほど黒地の斑紋の割合が多いという統計がある。
最近は温暖化の影響か、関東でも黒地の個体の割合が多くなってきた。
↑クヌギカメムシsp.♀
クヌギカメムシは3種いる。本種はおそらくヘラクヌギカメムシと思う。サジクヌギカメムシは未見。
いずれも卵越冬なのだが、この時期まで産卵せずに生き残っている個体は稀。♂と出会えなかったのだろうか。
↑ウシカメムシ
なぜか冬にばかり出会う。
↑カレハガsp.幼虫とヤニサシガメ5齢幼虫
たぶんカレハガの若齢幼虫と思う。危険なことにヤニサシガメと一緒に越冬していた。
越冬中は捕食昆虫も捕食しない為、この様な呉越同舟シーンは良く見かける。
ヤニサシガメは5齢幼虫で越冬する。最近、温暖化で進出著しいヨコヅナサシガメに押され気味。
ここでは久しぶりに10頭以上のコロニーに会えた。
↑ギンメッキゴミグモ
ゴミグモの仲間。クモは巣の中心で下向きにとまるのが普通だが、本種は上向きの少数派。
みんな無事に冬を越して欲しい。
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