晩秋までは
フユシャクの中でもエダシャク亜科やナミシャク亜科が主流だったが、寒くなってくると、正真正銘のフユシャクとも言えるフユシャク亜科が出てくる。
今季、久々、マイナス2度の林内を飛ぶヤマウスバフユシャク♂に会えた。
◆ヤマウスバフユシャク(Inurois nikkoensis)♂ (11月末 長野)
北海道、本州(中部以北)の山地に分布。11月中~12月初頃に出現し、短期間で姿を消す。画像はいずれも別個体。
ヤマウスバフユシャク♂は、ウスバフユシャク♂に比べて大きく、前翅は淡褐色~黄褐色(後者は茶褐色)で、翅頂部が淡黄色。(学研「日本産蛾類標準図鑑」)
また、外横線と内横線がやや幅広い。(築地書房「冬尺蛾」:種分離前のウスバフユシャク山地型の記述)
なかなか判り難いが、典型的な実物に会うと納得する。
両種の交尾器の差は微妙とのこと。同一ポイントに混生し成虫の発生時期も重複するので、異種交配が生じないのだろうか。雑種が出来たら特徴も微妙になるし、そもそも種の独立性が保てない。
触角の節数でも同定できるらしいが、判断基準に幅がある様だし、そもそも写真だけでは判断できない(笑)
◆ウスバフユシャク(Inurois fletcheri)♂ (12月中 埼玉)
代表的なフユシャクであり、フユシャク亜科の代名詞とも言える超普通種のフユシャク。
広食性。日本全国の平地~山地まで分布。平地では12~1月。
フタスジフユシャクに似る。
↑ウスバフユシャク交尾 (12月中 埼玉)
↑ウスバフユシャク♀ (12月中 埼玉)
Inurois属の♀は外見では同定困難なので、交尾にて同定。
↑クロテンフユシャク(Inurois membranaria)♂ (11月末 長野/12月初 山梨)
ウスバフユシャクに似るが、外横線が横脈紋付近で「く」型に折れることが同定ポイント。超普通種。日本全国の平地~山地まで分布。
↑ウスモンフユシャク(Inurois fumosa)♂ (11月末 長野/12月初 山梨)
ウスバフユシャクに似るが、紋が薄いことが同定ポイント。超普通種。日本全国の平地~山地まで分布。
→ヤマウスバフユシャク2008
→フユシャク図鑑
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