一寸の虫にも五分の魂

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ウスタビガ

今年は台風の発生が多く、10月下旬にも台風が接近した。
幸い上陸せずに通過したので山梨高地に灯火観察に出かけた。

高地では既にヒメヤママユやクスサンは終わっていたが、台風のお湿りと夜でも6℃以上あった為か、予想通りウスタビガに会うことができた。
ウスタビガはヤママユガ科のアンカーであり、山梨高地ではクロウスタビガに続いて10月後半に出現する。
 
関東甲信ではヤママユガ科はほぼ以下のスケジュールで見られる。
早春:エゾヨツメ
初夏:オオミズアオ、オナガミズアオシンジュサンの各1化
晩夏:オオミズアオ、オナガミズアオ、(暖地ではシンジュサン)の各2化、ヤママユ
初秋:クスサン、ヒメヤママユ
晩秋:クロウスタビガ、ウスタビガ

ヤママユガ科の成虫は口吻が退化しており食餌はとらない。
従ってあまり長生きしない上、種によっては山地にのみ発生し、発生期間も短いので出会える機会は限られる。
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◆ウスタビガ♀(10月 山梨)
本種の場合、灯火では♂より♀に会う確率が高い。
この個体は飛んできてからなかなか落ち着かず、濡れた舗装道路を背泳ぎして若干痛んでしまった。
他の蛾なら背中を舗装道路で何メートルも擦ってしまうと前胸背がすぐ禿げてしまうが、繭(俗称ヤマカマス)の狭い口を抜け出る種だけあって、濡れても前胸背は禿げなかった。
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↑昨年12/8に神奈川平地で会った♀
 平地では高地に比べて発生が1ヶ月程度遅い。標高や緯度はタイムマシンだ。
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◆ウスタビガ♂(同上)
本種の♂は灯火に来るのが夜中ではなく早朝か夕方の場合が多い。この日は19時前に♂が2頭来た。
本種の♂は朝から夕方にかけて活動する(昼行性)という説があるが、昼間は鳥等の天敵に見つかる可能性が高いので首を傾げる。
しかし実際に早朝と夕方に♂が灯火に飛来するのは確認しているので、昼間はともかく、早朝と夕方に♂が活動するのは間違いない様だ。
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↑繭は俗称でヤマカマスとも呼ばれる。
ヤマカマスの「カマス」の由来はムシロ(筵)を二つ折りにして両側を編んだ袋。確かに一直線の口が似ている。
美しい緑色の繭は落葉後には目立つが、落葉前に羽化するので冬~春に目立つ繭は空。羽化した成虫は茶~黄色の落葉色で、生涯うまく保護色を活用している。
ヤママユガ科は蚕の近縁であり、皇居でも飼育しているヤママユガ(天蚕)の様に高価な絹糸がとれる種もいるが、ウスタビガの繭からは糸はとれないらしい。
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↑幼虫
危機を感じるとキーキー鳴くという。
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↑卵
繭についていることが多い。
♀が羽化直後に繭にぶら下がっている状態で、♂が飛来して交尾、そのまま繭に産卵というケースが多い様だ。
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↑蚕の蛹の佃煮
ヤママユガ科は蚕の近縁。
養蚕で絹糸をとる為には、羽化して糸を切らない様に繭を熱処理する必要がある。
信州などの養蚕地帯では、熱処理して糸をとった後の蛹を無駄にせず、ザザムシハチの子、イナゴ同様に貴重な蛋白源として活用してきた。

現在の飽食の日本では、昆虫食というとゲテモノ趣味に思われがちだが・・・
いずれ地球は食糧難に見舞われることが避けられないという説もある。蛋白質生成の面で牛や豚などは効率が非常に悪い。
一方で昆虫は牛等に比べて効率がよく、高蛋白・低脂肪でもあり、食糧難対策の有望な選択肢となり得る。
特に、食材に偏見の少ない日本人は有利かもしれない。

<参考サイト>
21世紀は「昆虫食」の時代?
  
多彩だった日本の昆虫食


→ウスタビガ2012
→ウスタビガ2011
→ウスタビガ2010


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by issun_no_mushi | 2013-11-06 22:10 | 鱗翅目・蛾・野蚕