一寸の虫にも五分の魂

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雪中のヒロバフユエダシャク

今回の大雪は地元でも記憶にある限り最大の積雪量だった。ゆえに残雪も多い。
雪の捨て場がないことから身近にはまだ背丈ほどの雪山が点在している。
10度を越える日が続いても一向に残雪が減らない。
神奈川でもいまだに通行止の県道がある状況なので、お隣の山梨の苦労が忍ばれる。

これから春にかけてフユシャクは平地種から山地種に移っていくが、山地はまだ残雪でアクセスが閉ざされている。
フユシャクは積雪があろうと、樹の根元さえ雪が溶けていれば発生できる。
従って、今年はポイントに近づけない内に発生が終わる種が生じる可能性も十分想定できる。

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今回、ATSさんのフィールドにお邪魔して、初めて一面真っ白な環境でフユシャク探索を行った。
部分的には雪は溶けていたが、場所によっては積雪が膝下まで(笑)
そんな環境でも、樹の根元が溶けている所ではしっかりフユシャクが発生していた。
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◆ヒロバフユエダシャク♀ Larerannis miracula (2月 埼玉)
本州、九州に分布。(四国の方、是非ソメイヨシノで探してみて下さい)
Larerannis属4種の内、唯一の平地種。普通種。 2~3月頃発生。食餌はカバノキ科、ブナ科、バラ科。
小さな羽が天使を連想させる(笑)
この晩は単体♀はこの個体のみだった。
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◆ヒロバフユエダシャク交尾 Larerannis miracula (2月 埼玉)
低温かつ冷風の中交尾に会えたのはこの1ペアだけだった。
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↑♂は20頭以上見た。あまり個体変異は感じない。
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↑羽化したものの風に飛ばされそうな♂
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↑夕方まだ明るい内に羽化してきた♂
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↑今季初の出会いは1月末の神奈川だった。
この時点では今年のフユシャクはやや早めの推移と思っていたが・・・2度の大雪で状況が変わった。

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↑シロフフユエダシャク♂
斑紋はヒロバフユエダシャクに似た雰囲気だが、小ぶりで、前縁が反る。


これまで数年間、冬を通してフユシャクを追っていたが、雪でアクセスを閉ざされた記憶はない。
今季が特殊ならいいのだが・・・

この大雪は温暖化の影響という声も聞く。
そうなると今回の大雪は特殊なことではなく、今後も起こる可能性が大きいことになる。

これまで車で会いに行けた種が、いずれ雪山登山をしないと出会えない種になるのかもしれない。

「そんな大袈裟な」と思った方がいたとしたら・・・
毎年の様に「想定外」の事象が起こっている昨今、絶対にそうならないと言い切れます?

「会えるうちに会っておこう」、「自分の子孫がいずれ彼らの子孫に再会できる様にお互い無事に別れよう」
それが私の「一期一会」フィールド思想です。


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by issun_no_mushi | 2014-02-26 23:58 | 鱗翅目・蛾・冬尺

ウバタマムシ・ワラジムシ

関東付近のフユシャクの旬は、晩秋の山地から厳冬の平地に移って久しいが、1月末からの厳寒期は、ウスバフユシャクの生き残りや、クロテンフユシャクシロフフユエダシャクシモフリトゲエダシャクヒロバフユエダシャクが主な顔ぶれとなりバラエティが少ない端境期。

暖かい年であれば、そろそろ初春型フユシャクのフライングも見られるが、今年の関東圏は記録的な大雪続きで、いつまでも消えそうもない残雪が保冷材になるので出現はやや遅れそうだ。
(今回の大雪は当地でも記憶にある限り最大の積雪量でした。被害を受けた方々に深くお見舞い申し上げます)

この機会に、普段は掲載を省略しがちな、鱗翅目以外の目を取り上げる。
フユシャクを探していると他の生物にも出会う機会はけっして少なくない。
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◆ウバタマムシ Chalcophora japonica (2013/12月 埼玉)
タマムシ科ウバタマムシ亜科。本州以南に分布。年1化。成虫越冬する。食餌は松。
その美麗さから人気の高いヤマトタマムシに比べて地味な外見だが体長は同程度。

東京では絶滅危惧Ⅰ類。埼玉と神奈川では準絶滅危惧種。しかし、幼虫は穿孔性の為、松材の害虫としても有名。本種に限らないが、時々タマムシが柱や家具等から羽化した事例を聞く。
ヤマトタマムシ共々、本種も(少なくとも本州では)羽化まで2、3年かかるということだが、種や状況によって異なると思われる。

画像の個体は、ATSさんのフィールドでフユシャク散策の際に出会った個体で、歳の瀬の寒い夜中に出歩いていた。越冬中に摂食活動とは思えないが、何をしていたのだろう。
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↑初めて出会った越冬個体(2006/12  神奈川)
物陰に隠れていた。本種の成虫は冬の方が遭遇率が高い。

幼少の時分、家(神奈川)の狭い庭に長さ1mに満たない汚い古材が転がっていて、当時の飼い犬の見張り台だった(笑)
その古材から数年間、毎夏の様に本種が複数羽化していたのを今更の様に思い出す。
当時は、夏休みの自由研究(毎年ほぼ昆虫標本だった:笑)の為に1頭採集したくらいだったが、もっとよく観察しておくべきだったと悔やまれる。
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↑(参考)ヤマトタマムシ Chrysochroa fulgidissima (2011 神奈川)
本州以南に分布。食餌はエノキ等。
一般にタマムシと言えばこのヤマトタマムシを指し、玉虫厨子の例を挙げるまでもなくその美しさは人気が高い。

ヤマトタマムシの他にも、オオゴマダラ蛹やニシキキンカメムシ、ゼフィルス♂等々、光沢系の昆虫は少なくない。Wikipediaにはヤマトタマムシの「金属光沢は鳥を寄せ付けない」との記載があるが・・・少々疑問に思っている。
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↑ニシキキンカメムシ
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↑オオゴマダラ蛹
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↑ゼフィルス(画像はメスアカミドリシジミ♂)
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↑ウラギンシジミ

これら光沢系は広葉樹の葉に止まっていると日光反射に紛れて意外と目立たない。
光沢系の戦略は、光の反射を計算に入れた高度な保護色なのではないだろうか。

ウバタマムシの食餌は松等なので、広葉樹の様な葉の反射は望めない上に、樹皮等で成虫越冬するので、光沢よりも樹皮擬態を選んだのは頷ける。

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◆ワラジムシ Porcellio scaber (1月 神奈川)
種類は複数いるが、代表的なのはこのワラジムシ。
冬は冬眠するらしいが、この個体の様に時々カマドウマと同様に樹皮で活動しているのを見かける。
北海道・本州・四国に分布。意外にも九州以南には分布していないらしい。(九州の方、是非探してみて下さい)
主に枯葉等を食すことでミミズ同様に自然界のリサイクルに貢献しており、農作物などに害はないにもかかわらず・・・不本意にも「不快害虫」扱いされることが多い。

一方で、植物全般や農業・林業に大きな被害を生じている鹿は、増え過ぎているにもかかわらず、その外見ゆえに駆除され難い。
蝶は天然記念物になり易く、蛾やゴミムシは絶滅寸前の種であっても保護対象になり難いのと同様に、人間の偏った自然保護の方向性には不合理を感じることが少なくない。

ワラジムシはもちろん昆虫ではないが、旧分類の大顎亜門の印象から多足類(ムカデ、ヤスデ)と同格に思いがちだった。
改めてWikipediaで最新の分類を確認すると、節足動物門・甲殻亜門・軟甲綱・フクロエビ上目・ワラジムシ目(等脚目)・ワラジムシ亜目・ワラジムシ科。
甲殻亜門(いわゆる甲殻類)なので多足類よりエビ、カニに近い。

新分類の節足動物門は、絶滅した三葉虫形亜門を除けば下記4亜門で構成される様だ。
・鋏角亜門  :クモ、サソリ、カブトガニ、ウミグモ等
・多足亜門  :ムカデ、ヤスデ等
・甲殻亜門  :エビ、カニ、ミジンコ、フジツボ、ワラジムシ等
・六脚亜門  :昆虫、トビムシ等

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↑(参考)オカダンゴムシ Armadillidium vulgare
オカダンゴムシもワラジムシ目・ワラジムシ亜目だが、ワラジムシ科とは異なるオカダンゴムシ科。
意外にも比較的歴史の浅い外来種であり、Wikipediaによると「非常食として利用できる」とか。

ダンゴムシやワラジムシに興味が湧いた方には「ダンゴムシの本」がお薦め。
「日本ダンゴムシ協会」というサイトもある。

関東を今冬2度目の大雪が襲った2/14(バレンタインデー)に、鳥羽水族館から、5年間絶食中で有名になったダイオウグソクムシNo.1の死亡記事が報じられた。(リンクフリー確認済)
絶食の記録を更新する度に人気が高まり、博物館売店の実物大のヌイグルミは入荷即完売だったとか。

ダイオウグソクムシは西大西洋の深海に棲む体長約30cmの世界最大のワラジムシ目。
たしかに見た目もワラジムシに似ている。それなのに「不快害虫」とヌイグルミ完売の差はナニ?
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↑ダイオウグソクムシのハーフサイズだが、日本近海には同属のオオグソクムシが生息している。
(撮影協力:戸田造船郷土資料博物館・駿河湾深海生物館

ナウシカのオームもワラジムシ目なのだろうか(笑) (リンクフリー確認済)

オームはもちろんダイオウグソクムシを家庭で飼育することは困難だが・・・
ワラジムシやオカダンゴムシは比較的容易かつコンパクトに飼育できるらしい。
どうせ飼育するなら国産のワラジムシやオカダンゴムシをいかがですか?
ミニ・オームやミニ・グソクムシと思えばとても魅力的でしょう。

<追伸>
第4回 - mozo mozo - 虫・蟲 展 始まりました。お時間ある方は是非覗いてみてはいかがでしょうか。

Gallery たまごの工房
東京都杉並区高円寺南3-60-6(JR高円寺駅南口徒歩4分)
Tel:03(3313)8829
2月18日(火)~3月2日(日)月曜休廊
12:00~19:30 最終日のみ~18:00
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by issun_no_mushi | 2014-02-18 21:35 | 鞘翅目(甲虫)

キノカワガ・冬のキリガ等

冬に成虫に出会える鱗翅目と言えばフユシャクが代表的だが・・・
フユシャク以外でも初冬まで頑張る種や、成虫越冬する種、まだ寒い早春に羽化する種がいる。
一見、か弱そうな鱗翅目だが、実は他の目に比べて意外と寒さに強い様だ。

冬の鱗翅目観察と言えば、フユシャク探索や、キリガの糖蜜観察だが、観察時刻の旬が重なる種が多い為、私はフユシャクに注力し、他科は偶然の出会いに任せている。

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◆キノカワガ Blenina senex (上:12月 埼玉、下:11月 神奈川)
キノカワガ亜科はかつてヤガ科に属していたが最近コブガ科に変わった様だ。本州~沖縄諸島に分布し、年2化で成虫越冬する。食餌はカキノキ科等。
そこそこ大きな蛾だが、和名の通り樹皮にぴったり張り付いて、色彩が合えば擬態効果は高い。

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◆ホソバキリガ Anorthoa angustipennis (1月 神奈川)
ヤガ科ヨトウガ亜科。北海道~九州に分布。年1化。成虫は早春に現れる、いわゆる春キリガ。食餌はバラ科、モクセイ科。
2月から見ることが多い種で、1月に会ったのは初めてかもしれない。湘南の暖かさと標高の低さゆえと思う。
フユシャク等は標高の高い山地や緯度の高い北側から出現が始まるが、春の虫はその逆で、梅や桜前線と同様に、緯度の低い南部や標高の低い低地から出現する。

生物の分類は研究が進むにつれて見直されるが、蛾の分類は学研の日本産蛾類標準図鑑でかなり変わった印象がある。
キリガとつく種は新設のキリガ亜科だけでなくヨトウガ亜科にもいる一方、ヨトウとつく種はヨトウガ亜科はもちろんキリガ亜科にもいる。
かつて、草本を食餌とする種をヨトウガ、樹木を食餌とする種をキリガと大雑把な区別を聞いた記憶があるが、イチゴもソメイヨシノもバラ科だし、植物を草本・樹木と分けること自体厳しい。
今後、新種を命名することがあったら、ヨトウガ・キリガの区別は何を基準にするのだろう?

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↑ウスズミカレハ Poecilocampa tamanukii (11月 山梨)
カレハガ科のアンカー。北海道~九州に分布し、年1化で晩秋の高地で見かける。食餌はバラ科、カバノキ科。
スミナガシといい、本種といい、味のある和名命名センスに唸るしかない。

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↑ミドリハガタヨトウ Meganephria extensa (上:11月上旬 長野高地、下:11月末 神奈川平地の擬態効果ぶり)
ヤガ科モクメキリガ亜科。かつてはモクメヤガ亜科だったが亜科名自体が改名された様だ。
北海道・本州・九州に分布。本当に四国にいないのだろうか?四国の方、是非探してみてはいかがでしょう?(笑)
成虫は年1化で晩秋に現れるが成虫越冬しない。食餌はニレ科。
和名にミドリと付くが、そう感じる個体に会ったことがないので、いつも出会うと和名が思い出せない(笑)

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↑ケンモンミドリキリガ Daseochaeta viridis
ヤガ科モクメキリガ亜科。北海道~九州に分布。年1化で晩秋に現れるが成虫越冬しない。食餌はカエデ科、バラ科。
「蛾は色が汚い」等という声も聴くが、本種の様に一般受けしそうな色彩の蛾は少なくない。
春に出るゴマケンモン(下)に似ている。

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↑(参考)ゴマケンモン Moma alpium 
ケンモンミドリキリガ(上)に似ているが、別亜科のヤガ科ケンモンヤガ亜科。
北海道~九州に分布。春から初夏に現れる。食餌はブナ科、カバノキ科。

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↑ウスアオキリガ Lithophane venusta (10月 山梨)
この種も上2種に雰囲気が似るているがややスマートで、別亜科のヤガ科キリガ亜科。
北海道~九州に分布し、秋に現れ成虫越冬する。食餌はブナ科。

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↑アオバハガタヨトウ Antivaleria viridimacula (11月 山梨)
ヤガ科キリガ亜科。北海道~九州に分布。年1化で晩秋に現れるが成虫越冬しない。食餌はバラ科、ブナ科。
色彩や斑紋に個体差が多い。和名は「青翅刃形」と思われ、緑系が多く、前翅外縁がギザギザしている。

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↑キトガリキリガ Telorta edentata (12月 埼玉)
ヤガ科キリガ亜科。北海道・本州・九州に分布。これも四国にいないのだろうか?
年1化で晩秋に現れるが成虫越冬しない。食餌はバラ科。
和名の「キトガリ」は黄色で翅端が尖っているという意味と思う。

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↑ノコメトガリキリガ Telorta divergens (12月 埼玉)
ヤガ科キリガ亜科。北海道~九州に分布。年1化で晩秋に現れるが成虫越冬しない。食餌はツバキ科、バラ科。
「ノコメ」は「鋸目」つまり、前翅外縁のギザギザをノコギリに例えたものと思う。

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↑ゴマダラキリガ Conistra castaneofasciata (11月 長野)
ヤガ科キリガ亜科。北海道~九州に分布。年1化で晩秋に現れ成虫越冬する。食餌はブナ科。
和名の「ゴマダラ」は「碁斑」の意味と思う。

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↑カシワオビキリガ Conistra ardescens (12月 埼玉)
ヤガ科キリガ亜科。本州~九州に分布。年1化で晩秋に現れ成虫越冬する。食餌はブナ科、バラ科。

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↑ホシオビキリガ Conistra albipuncta (1月 神奈川)
ヤガ科キリガ亜科。北海道~九州に分布。年1化で晩秋に現れ成虫越冬する。食餌はバラ科。
前翅の斑紋は碁斑型など複数ある。和名の「ホシ」の由来と思われる黒点は白いものもいる。

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↑フサヒゲオビキリガ Agrochola evelina (12月 埼玉)
ヤガ科キリガ亜科。北海道・本州・四国に分布。年1化で晩秋に現れ成虫越冬する。食餌はブナ科、バラ科。

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↑ヨスジノコメキリガ Eupsilia quadrilinea (1月 神奈川)
ヤガ科キリガ亜科。本州~九州に分布。年1化で晩秋に現れ成虫越冬する。食餌はバラ科、ブナ科、ニレ科。

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↑チャマダラキリガ Rhynchaglaea scitula (上:1月 神奈川、下:12月 埼玉)
ヤガ科キリガ亜科。本州~沖縄諸島に分布。年1化で晩秋に現れ成虫越冬する。
斑紋は多様。超普通種だがいまだに食餌は未知だという。

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↑クロチャマダラキリガ Rhynchaglaea fuscipennis (1月 神奈川)
ヤガ科キリガ亜科。本州・四国・九州に分布。年1化で晩秋に現れ成虫越冬する。食餌はブナ科。

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↑フクラスズメ Arcte coerula (12月 埼玉)
ヤガ科ウスベリケンモン亜科。かつてはシタバガ亜科だった。
北海道~沖縄諸島に分布。年2化で成虫越冬する。食餌はイラクサ科、アジサイ科、クワ科。

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↑(参考)幼虫はカラムシ等でよく見かける。


和名は味のあるものが多いが、その由来の解釈が謎なものもある。和名の由来等は公的に記録しているのだろうか。
もしまだなら、命名者や識者の情報が失われない内に記録すべきだろう。


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by issun_no_mushi | 2014-02-11 14:08 | 鱗翅目・蛾

湘南フユシャク夜戦

1月下旬に湘南を拠点とする昆虫写真家の尾園さんフユシャク観察する機会に恵まれた。
夜戦は初めての様なお話だったが・・・さすがプロ。
キリガが集まる天然の樹液を臭いで探知したり、この日唯一のナミスジフユナミシャク交尾を発見するなど、その視点は大変参考になった。
結局、あっという間に3時間が経過するほど楽しい観察だった。

撮影目的の場合、採集と違って奪い合いの心配はないので、単独より視点が異なる仲間がいた方が刺激を得られて数倍楽しい。加えて、発見率アップや、リスク対応力の向上、遠征の際は運転の交代、交通費の割り勘にもなリ得る(笑)

この日は時期的にウスバフユシャク、ウスモンフユシャク、ナミスジフユナミシャクがピーク後半、クロテンフユシャク交尾が最盛期、シモフリトゲエダシャク♂複数、埼玉平地ではほぼ姿を消したイチモジフユナミシャクが♂♀とも健在、神奈川中部では年末で姿を消したチャバネフユエダシャク♂複数と、羽化直後と思われる元気な♀も目撃。
結局フユシャクだけで7種確認できた。

意外だったのは神奈川中部では1月中旬に既に交尾が見られたシロフフユエダシャクがまだ皆無だったこと。
もしかしたらと期待していたヒロバフユエダシャクもまだだった。

ちなみに、1週間後に単独で同地を小1時間覗いたところ、予想通りシロフフユエダシャク♂、ヒロバフユエダシャク♂を確認できた。
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◆クロテンフユシャク(Inurois membranaria)交尾(1月 神奈川)
北海道から九州に生息。関東付近では11月頃と4月頃に山地に現れ、平地で2月頃まで見られる超普通種。
広食性。ウスバフユシャクに似るが外横線が「く」の字に折れる
♀は♂を引きずってどんどん樹を登っていく。
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↑別なペア。♀は樹皮の間に頭を隠していた。
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↑尾園さんが発見した鉄製手すりを歩いていた別ペア。
灯りを当てると、例によって♂が翅を畳んで♀をカバーした。
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↑クロテンフユシャク♂
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↑(参考)今季初のクロテンフユシャク♂(11月 長野)

関東付近でいう山地種フユシャク(ヤマウスバフユシャクユキムカエフユシャク等)は、東北では平地にも産するのに対し、九州・四国には生息せず、一部の例外を除くと関東付近の平地にも生息しない。
これらの種は関東付近では晩秋に山地に短期間現れて姿を消す。いわば「山の秋の線香花火」といったイメージ。

一方、気温の許容範囲が広い種(ウスバフユシャク、クロテンフユシャク、ウスモンフユシャク等々)は北海道から九州まで生息し、関東付近では山地から平地まで産する。
関東付近では3種とも晩秋に山地に現れ、厳寒期には山地で姿を消す一方、平地に現れる。いわば「下りエスカレーター」というイメージ。
ウスバフユシャク、ウスモンフユシャクは2月頃までに平地で姿を消すが、クロテンフユシャクは早春に再び山地に現れる。
クロテンフユシャクが、山地で厳寒期に一時的に発生が止まるのは、山地ゆえの超低温、積雪、地面凍結で、フユシャクと言えども活動限界を越えている為と考えられる。
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◆ウスモンフユシャク(Inurois fumosa)交尾(1月 神奈川)
北海道から九州に生息。関東付近では11月頃山地に現れ、平地で2月頃まで見られる超普通種。
広食性。ウスバフユシャクやクロテンフユシャクに似るが斑紋が薄くはっきりした点が無い。
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↑ウスモンフユシャク♂
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↑(参考)今季初のウスモンフユシャク♂(11月 長野)
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◆ウスバフユシャク(Inurois fletcheri)交尾(1月 神奈川)
北海道から九州に生息。関東付近では11月頃山地に現れ、平地で1月頃まで見られる超普通種。広食性。
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↑ウスバフユシャク♂
前翅の濃淡は個体差が多く黒点が目立たない個体もいる。
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↑(参考)今季初のウスバフユシャク♂(11月 長野)
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↑同夜見かけたコーリング中のInurois属の♀。
Inurois属の♀は、交尾確認か解剖学的に交尾器を調べることでしか種同定は困難。
この個体は結局交尾を確認できず、種は不明のまま。
同夜の環境から、ウスバフユシャク、ウスモンフユシャク、クロテンフユシャクのいずれかと思う。
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↑尾園さんが発見したナミスジフユナミシャク交尾
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↑数頭見かけたナミスジフユナミシャク♂
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↑鮮度が高いイチモジフユナミシャクの♂と♀もいた。
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↑予想外にまだ複数いたチャバネフユエダシャク♂
やはり緯度と標高は「タイムマシン」だ。
羽化間もないと思われる元気な♀も目撃したが、これまで見たことがないハイスピードで幹を這い上がり、棒で何とか降ろそうとしたがポロリ(内輪で「落下政策」と呼んでいる)と落ちて行方不明に。
証拠写真を撮る暇もなかった。
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↑クモの巣で見つけたチャバネフユエダシャク♀の死骸
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↑クモの巣の主
この時期はヒメグモをよく見るが、これはズグロオニグモの若いカレハヒメグモ♀の様だ。
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↑活動中のオニグモも見られた。
フユシャクは捕食生物の命をつなぐためにも貴重な存在となっている様だ。


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by issun_no_mushi | 2014-02-05 22:27 | 鱗翅目・蛾・冬尺