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一寸の虫にも五分の魂

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ビロウドツリアブ・ルリタテハ

大雪の影響か、今年は越冬蝶を見るタイミングが遅れていたが、ようやく、キタテハ、ルリタテハ、テングチョウ等に出会えた。アカタテハムラサキシジミも目撃した。
また、同時に今春初のスプリング・エフェメラルとしてビロウドツリアブを確認できた。

スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)とは、本来、早春に開花し、夏は地上部が消える儚い植物を指す。しかし、広義には、早春にだけ現れる昆虫も指す。
従って、早春型で年1化のコツバメミヤマセセリ等は該当するが、年数化のベニシジミルリシジミ等は該当しないし、越冬蝶も該当しない。

Wikipediaでは「華やかなチョウが対象になることが多く、同時期に出現するにしても、ツチハンミョウなどがそう呼ばれることはまずない」とされているが・・・それは個々人の自由(笑)
ビロウドツリアブが華やかかどうかは判らないが、立派なスプリング・エフェメラルと思う。
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◆ビロウドツリアブ♂ Bombylius major (3月 神奈川)
双翅目ツリアブ科。資料によってはビロードツリアブとも記載されている。
北海道~九州に分布。春に見かける普通種。
幼虫はヒメハナバチ科の幼虫、蛹に寄生するとか。
その名の通り、ビロウドの様な毛に覆われ、ユーモラスな長い口吻が特徴。

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↑♂吸蜜(過去画像)

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↑♀吸蜜(過去画像)

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◆越冬明けのルリタテハ Kaniska canace(3月 神奈川)
鱗翅目タテハチョウ科タテハチョウ亜科タテハチョウ族ルリタテハ属
北海道~南西諸島に分布。成虫越冬。幼虫はユリ科喰い。
地域によって年1~3化。敏感で機敏に飛ぶ。

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↑越冬中の個体(過去画像)

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↑与那国で会った南西諸島亜種(過去画像)
本土亜種では白い前翅肩部の斑紋が、南西諸島亜種では青い。

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↑終齢幼虫(過去画像)

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↑キタテハ(3月 神奈川)

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↑テングチョウ♂(3月 神奈川)


どうやら今春は急に気温が上がるパターンの様なので、早春型の昆虫の出現は短期間となりそうだ。
また、山地ではまだまだ雪深い所もあり、ただでさえ出現が1ヶ月もずれることがある早春型山地系フユシャクの発生時期の予想は今年も難題だ。

今後温暖化が進むと、なんでも極端になるので、ますます春や秋が短くなるのではないかと危惧している。
日本の昆虫の多様性は、猛暑で種類が減る夏よりも、春にこそ楽しめると思っているので、春がこれ以上縮まらずにいて欲しい。


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by issun_no_mushi | 2014-03-26 23:19 | 鱗翅目・蝶

ベニシジミ・モンキチョウ

啓蟄を過ぎ、トギレフユエダシャクシロトゲエダシャクがピークを迎えた。

大雪の影響か、フチグロトゲエダシャク観察時には必ず見るキタテハ等の越冬蝶にまだ会えていないのに、先に春羽化の蝶に出会ってしまった。

大人しいフユシャクから、敏捷な蝶に被写体をシフトにするには接近術のリハビリが必要と痛感した(笑)

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◆ベニシジミ Lycaena phlaeas (3月 山梨)
日本では1種しかいないシジミチョウ科ベニシジミ族ベニシジミ属。
世界には20亜種あるが、日本産は全て1亜種(Lycaena phlaeas daimio)。大名のことか?芸者でも合う気がするが、クジャクチョウに使用済みか(笑)
北海道から九州まで分布。年数化し、暖地では5化とか。

高速で飛び、比較的好戦的な美麗種。
しかし、超普通種ゆえに他種に比べてあまり注目を浴びていない様だ。
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↑求愛(2008)かなり粘っていたが残念ながら結局フラれた。
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↑交尾(2011)
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↑夏型は翅が黒化傾向になる(2007)
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↑越冬型の幼虫は冬葉に似せたピンクが美しい(2003)
幼虫はスイバ、ギシギシ等を喰う。
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ギナンドロモルフ(gynandromorph=雌雄モザイク)と思われる個体(2004)
超普通種だと異形にも出会う確率が高い?

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◆モンキチョウ Colias erate (3月 山梨)
シロチョウ科モンキチョウ亜科モンキチョウ族モンキチョウ属。
近種に高山蝶ミヤマモンキチョウがいる。
北海道から南西諸島まで分布。幼虫はマメ科を喰う。年数化し、暖地では5化とか。
早春に成虫が現れるので、かつては成虫越冬と考えられていたらしいが、通常は幼虫越冬。
目まで黄色いのが徹底している。
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↑沖縄で会った個体(2013)
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↑石垣島の個体(2012)
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↑長崎の個体(2011)この辺りは大陸産が侵入している可能性も・・・
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↑北海道の個体(2012)
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↑交尾(2013)
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↑♂(黄)が求愛するも♀(白)は尾部を上げて交尾拒否(2006)
♂は黄色のみだが、♀は黄色と白の2タイプがある。

3/18は関東でも春一番が吹いた。同日に高知ではソメイヨシノが開花したらしい。
これから一気に暖かくなるのだろうか。それとも、また寒波の不意打ちの可能性があるのだろうか。

急に気温が上がると、早春型の昆虫が一度に出現して短期で終わり、出会いの機会を逸し易い。
今季のフユシャク探索もまだ終えていないので、春の訪れは緩やかであって欲しい気もする(笑)


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by issun_no_mushi | 2014-03-18 22:29 | 鱗翅目・蝶

フチグロトゲエダシャク 2014

2月以降、週末毎に天気が優れない為、やきもきしている内に啓蟄が過ぎてしまった。

少なくとも関東では、1週間毎に天候が一巡する様に思える。
従って、週末に低気圧が当たると、似た傾向が繰り返される傾向にある。
今回はそこに大雪が2度もあったので、残雪による悪影響も尾を引いている。

しかし、西南方面を中心にSNSでは徐々に春羽化蝶の目撃情報が飛び交い始めており、フユシャクもラストスパートに入った。
大雪や残雪で例年より発生時期がズレている様で、各種の出現時期の予想が難しい。

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◆フチグロトゲエダシャク(Nyssiodes lefuarius)♂(3月 埼玉)
「フユ」はつかないがフユシャクの一種。北海道~九州に生息。食餌は草本。
は毛むくじゃらのアザラシの様。
フユシャクの中でも唯一の本格的な昼行性で、灯火には来ないという徹底ぶり。
活動時間や交尾は正午前後で、晴れて暖かくないとまず活動しない。

12月頃クヌギ林などで見られたクロスジフユエダシャクも♂は明るい内に飛び回る。
しかし通常、交尾は日暮れ以降に見られる。また、♂は灯火にも来る。

晴天でないと活動しない点は、ギフチョウによく似ている。
枯草に止まっていると擬態効果で背景に溶け込んでしまう点もギフチョウに似ている。

また、発生時期は異なるが、ギンイチモンジセセリの生息地と重なる傾向もある気がする。
生存に適した環境が年々減っていることや、生息数がけっして多いとは言えない点も両者はよく似ている。
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◆フチグロトゲエダシャク♂アップ(3月 埼玉)
昼行性とは言えど、視力はよくない様で、フユシャクの中でも最も派手なレーダー状の触角を備えて♀のフェロモンを探す。
このレーダー触角と首回りの毛深さはイカルス星人を連想してしまう(笑)

本種は昼行性である為か、そのルックスゆえか、フユシャクの中では他種に比べてダントツに人気がある様だ。それもつい最近の傾向に思える。これもネット効果だろうか。

その分、採集圧も他種の比ではなく、神奈川のポイントではその時期になると必ず補虫網を見る様になった。
その所為か、神奈川で定点観察していたポイントは、残念ながら数年前から姿を見なくなった。

子供が虫捕りをする機会が減ったことで命の儚さに触れずに育ち、自身や他の命を尊重しない要因につながっていると個人的に思っているので、昆虫採集や飼育を否定するつもりは毛頭ない。
納得のできる研究や書籍にかかわる採集には、微力ながら協力もしてきたつもりだ。

しかし、いい大人が、個人所有に閉じた標本作りの為だけに、同一ポイントで同一種を多数採集する刹那的な行動は、種の存続を絶ち、子供らの権利を奪う行為にほかならない。

採集者本人も、先々まで虫との出会いを楽しみたいはずだ。
その為には、是非とも節度のある行動を望みたい。

また、ひとりひとりがたとえ1頭しか採らなくても、無数の採集者が同一ポイントで同一種を採れば、意図せずに絶滅に追いやることになる。
そうならない様に、ネットでのポイント情報の扱いはくれぐれも慎重にお願いしたいものである。

「末長く楽しみたいものは大切にする」
ごくあたりまえのことだと思うし、そんなに難しいことではないと思う。


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by issun_no_mushi | 2014-03-13 00:03 | 鱗翅目・蛾・冬尺

雪上のウスバフユシャク・ホソウスバフユシャク交尾

神奈川の平地ではようやく2月の大雪の残雪が見られなくなったが、3/5現在まだ通行止めの県道もある。
気象庁によればこの冬の大雪は30年に1度以下の異常気象だったとか。

3/6は啓蟄。
二十四節気の第3番目で2月節にあたり、越冬していた虫達が活動を開始する時期。
SNS等では南西方面から徐々に春羽化蝶の出現報を聞く様になった。
拙掲示板には早くもミヤマセセリの出現報も頂いた。

虫好きには喜ばしい季節の到来なのだろうが・・・
フユシャク探索の立場からは終幕が近い焦りの時期でもある(笑)

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◆雪上のウスバフユシャク(Inurois fletcheri)♂(2月 埼玉)
ウスモンフユシャクは既に姿を消したが、ウスバフユシャクは例年より長く見かける。
大雪の影響で厳冬期間の環境が長引いた為だろうか。この個体も晩生(おくて)らしくまだ頑張っていた。

この個体は雪上に止まっていたので、冷たいだろうと手で葉に移してやろうとしたが、体温を嫌がったのか飛び去った。余計なお世話だったらしい(笑)

写真を撮る際に、手乗せをしたり、アングルに指先を入れるのは、大きさ比較のスケール替わりだが・・・
フユシャクに限らず、シャクガ科は他科の蛾に比べて体温を嫌がるケースが多い気がする。

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◆ホソウスバフユシャク(Inurois tenuis)交尾(2月 埼玉)
今季24種目のフユシャク。
Inurois属のアンカーで3月が旬のフユシャクだが2月中頃にもう出ていて、初見が交尾だった。
シロフフユエダシャク、平地ウスバフユシャク、平地イチモジフユエダシャクなど、今季は初見=交尾のケースが多い。

マンボウは3億の卵を一度に産むという。
全てが成魚になったら大変なことになりそうだが、もちろん淘汰されることが前提だろう。
被食者になり易い虫達も多くは同様の多産戦略をとる。言わば「数の戦略」だ。

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↑アメリカの17年ゼミ(画像)や13年ゼミは素数年に発生することで天敵を避けているという。これは「時の戦略」だ。

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↑オオカマキリの卵は関東平地ではGW頃に孵化するが、1つの卵鞘から数回に分かれてタイミングを数日ずらして孵化するのを観察している。1度に全部が孵化すると、同時に大雨等で全滅する可能性もあるが、日をずらすことでリスクを回避できる。これも「時の戦略」だ。

春に羽化・孵化する虫は、寒さを避けたり、新芽等の食餌に合わせる為、積算温度などでタイミングを計っている。これも「時の戦略」だろう。

2月最終日の2/28は東京で18度を越えるなど、一時的な暖日となり、あちこちで春羽化の虫達の目撃報を聞いた。しかし、翌3/1からまた長い冬日が続いている。春先は寒波が波状に襲い来ることが多い。
成虫・幼虫越冬する虫達はまた眠ればよいのだろうが、一時的な暖かさに釣られて羽化・孵化した虫達は、果たして無事にDNAをつなげるのだろうか。

オオカマキリの例の様に、越冬環境が同等の同一種でも、早生(わせ)の個体と晩生(おくて)の個体がいて、発生時期がずれることによりリスク分散しているのかもしれない。


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by issun_no_mushi | 2014-03-05 23:09 | 鱗翅目・蛾・冬尺